【研究者に聞いてみた】みたことのないフグが急増中!絶対に食べてはいけないフグの正体とは

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2019年06月06日

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

近年日本の海は大きな変貌を遂げており、今までにみたことのない魚が出没するようになってきている。

南方系の魚の生息域が北上しているだけでなく、ごく稀にしか見られなかった雑種の魚が増えているという。

そこで今回は、魚類の雑種に詳しい研究者に話を聞いてきた。

雑種のフグが急増中

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

今回話を聞いたのは、魚類遺伝学を研究している水産大学校准教授 高橋 洋氏。

高橋氏の話によると、近年はあらゆる魚類の雑種個体が多く見られるようになってきているとのこと。

中でも数年前から東日本でショウサイフグとゴマフグの雑種が爆発的に増加しているという。

ショウサイフグとは

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

ショウサイフグとは、太平洋側に多く生息している食用のフグ。

船釣りの人気ターゲットであり、釣り人の間ではもっとも馴染みの深いフグだろう。

安価で美味なことから、遊漁だけでなく水産物としても重要な種とされている。

ゴマフグとは

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

ゴマフグとは、日本海側に多く生息している食用のフグ。

昔は太平洋で獲れることは稀だったが、近年は北海道南部の太平洋側や三陸の沿岸で漁獲対象になるほど増加している。

ショウサイフグと似ているが、体表に小さな棘があることと、尻びれがレモン色であることで見分けることができる

ショウサイフグとゴマフグの雑種

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

こちらがショウサイフグとゴマフグの雑種だ。

形はショウサイフグに近いが、ゴマフグの特徴である体表の小棘があり、尻びれは薄いレモン色となっている。

両種の特徴を持ち合わせているため、素人には見分けが難しいだろう。

前代未聞の異常事態

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

もともとショウサイフグとゴマフグは近縁種であるため、雑種の割合が100匹に1匹程度であれば大きな不思議はないという。

しかしながら、しかしながら、福島県と茨城県では漁獲されたフグのうち雑種が40%近くを占めたこともあったとのこと。

これほど高い割合で雑種が出没するのは、フグのみならずこれまでの海水魚で記録されたことがない異常事態となっている。

雑種のフグはなぜ増えたのか?

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

雑種のフグが増えた原因は、日本海の海水温の上昇と津軽暖流の強弱が関係しているという説が有力だ。

実際に近年の水温上昇によってゴマフグの生息域が北上し、津軽海峡を越え太平洋側でも普通に見られるようになってきている。

また、近年では2010年と2012 年に津軽暖流が異常に強まったことも確認されている。

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

さらに、雑種フグの遺伝子を解析すると、約80パーセントの個体がショウサイフグが雄親でゴマフグが雌親であるという。

生態学では、基本的に数の多い種の雄と数の少ない種の雌が交雑しやすいとされている。

これらのことから、太平洋側で少数派のゴマフグが、多数派であるショウサイフグの産卵場所に侵入したために雑種が増えたのではないかと推測されている。

雑種のフグはなぜ問題なのか

市場に出せない

画像提供 : 水産大学校 准教授 高橋洋

流通できるフグは厚生労働省の規定によって定められており、雑種のフグは市場に出すことができない。

したがって、雑種のフグを漁獲した場合は破棄するしか選択肢がないのが現状だ。

また、雑種のみが漁獲されず海に残り続けることで、生態系に悪影響を及ぼしてしまう可能性もある。

新たな部位に毒を持つ可能性

ショウサイフグとゴマフグは、いずれも皮、肝臓、卵巣に猛毒および強毒を持っていることがわかっている。

ごく稀に筋肉に弱毒を持つ個体もいるが、通常人体に影響が出ることはほぼないといってもいいレベルだ。

しかし雑種の場合、弱毒を作っている遺伝子が組み合わさることによって、今まで無毒もしくは弱毒しか持たなかった部位に強毒を持ってしまう可能性がある

絶対に食べないようにしよう

日本の海は世界的に見ても温暖化のペースが早く、短い期間に大きな変化が起きている。

高橋氏の話では、今後もさまざまな雑種のフグが増えるのではないかとのことだ。

釣りをしていて出会う可能性も大いにあるが、いずれも絶対に食べてはいけないことを覚えておいてほしい。

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