
写真提供:はまかわ しょうご 様
胴に石灰質の甲を持つ「コウイカ類」。元々イカの祖先は巻貝の仲間であるため、イカに進化しても貝が名残として残っている種類だ。アオリイカ狙いの外道としてよく釣れ、大量の墨を吐くことから敬遠されることも多いが、コウイカ類は非常に美味なイカである。
今回は、そんな外道扱いされがちなコウイカ類の見分け方から釣り方、食べ方に至るまで詳しく解説していこう。
目次
主に釣れるコウイカ類の見分け方
日本近海に生息するコウイカ類は「シリヤケイカ」「コウイカ」「カミナリイカ」の3種類。
基本的な見た目や特徴は似ているが、それぞれに個性があり、食味も異なる。また、沖縄地方にはコブシメと呼ばれる特に大型になるコウイカ類も生息している。
シリヤケイカ

写真提供:大木克彦 様
体に白い斑点があり、足の間が白いものは「シリヤケイカ」。外見が他の2種類とハッキリ異なるので見分けるのは簡単。干潟などの砂泥地を好み、初夏に藻場で産卵する。
身が硬いため、刺身に向かないと言われるため焼き物やフライ、煮物にすると美味しく食べることができる。もしくは薄くそぎ切りにすると刺身でも食べることが可能だ。
なおシリヤケイカの名前の由来は胴の先端から赤茶色の液体を噴射するため、「尻が焼けたように見える」ことからこの名前が付けられた。スミとは逆方向に噴射するため、近づいたときに靴やウェアを汚さないように注意しよう。
コウイカ
関東ではスミイカ、関西ではハリイカと呼ばれる「コウイカ」。スミイカと呼ばれるだけあり、イカのなかでも吐くスミが濃い。また味も風味も良いため、イタリア料理のイカスミとしても使われる。
関西でハリイカと呼ばれる理由は、後述するモンゴウイカと異なり、胴の先端がハリのように尖っていることに由来する。モンゴウイカとの見分け方は難しいときもあるが、このポイントを参考にするといいだろう。
食味はコウイカ類の中では最も良いとされており、甘みのある身は寿司ネタとしても人気。生でも火を通しても美味しく、群れが近づいていれば、堤防から連発することもあるので、春や冬に狙ってみよう。
カミナリイカ
コウイカと似ているのが「カミナリイカ」、モンゴウイカやマイカと呼ばれることもある。コウイカと異なるのは体表の模様で、カミナリイカにはコーヒー豆のような模様がある。また日本近海で釣れる3種の中では大型になり、シーズン中ならキロオーバーも珍しくない。
潮通しのいい砂地を好み、初夏に藻場で産卵を行う。見た目の通り大型のため、刺身でもっちりした食感が楽しめる人気のイカだ。
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