赤澤康弘のご当地タイラバ戦術【錦江湾編:前編】プロが語る「シャローエリア攻略法」とは
雄大な桜島がそびえ立ち、観光名所としても人気が高い鹿児島県・錦江湾(鹿児島湾)。
火山活動によって複雑な海底地形が形成されており、マダイをはじめとするあらゆる魚にとって格好の住処となっている。
今回はシマノフィールドテスター 赤澤康弘さんが教える、「錦江湾のタイラバを制するコツ」を紹介していこう。
錦江湾の特徴
錦江湾はサンゴ礁を形成するシャローエリアがある一方で、湾内には水深200m以上の深海も存在している神秘的な海域だ。
よってサンゴから深海魚まで生息するという、国内でもまれに見る豊かな生態系を育んでいる。
湾奥部から中央部、湾口部でそれぞれが全く異なる特性を持っており、フィールドごとにマダイの狙い方も違う。
初心者でも安心のフィールド
今回お世話になったのは、鹿児島本港から出船している遊漁船 海鱗[かりん]の林船長。
錦江湾の複雑な海底地形を把握しており、シーズンに応じて最適なポイントへガイドしてくれる。
「錦江湾は魚影の濃さももちろんですが、港から釣り場が近く波が穏やかなので、初心者でも安心して楽しめるフィールドです。」と錦江湾の魅力を語る林船長。
今回釣行したのは、錦江湾の中央部に位置する「市街地沖」と呼ばれるエリア。
錦江湾の中でも水深が浅く、マダイをはじめとするさまざまな魚が生息している好ポイントだ。
ここでは水深15〜60mほどの瀬周りを中心にアプローチしていく。
シャロー攻略には「キャスティングタイラバ」
錦江湾口でのタイラバは経験があるものの、市街地沖は初めてだという赤澤さん。
「錦江湾は太平洋に面しており外海に分類されるエリアですが、ここ市街地沖は私のホームエリアである瀬戸内海と共通する要素が多い。」と語る。
そこで今回は瀬戸内海で実績が高い、スピニングタックルを使用したキャスティングタイラバで挑むことにした。
林船長の話によると、錦江湾は潮が流れず苦戦を強いられる日が多いとのこと。
実際に釣行日も思った通りに潮が流れず、なかなかマダイの活性が上がらない時間帯が続いた。
赤澤さん曰く、過去の経験上このような状況ではキャスティングタイラバが有利になるという。
「シャローエリアでは、ディープエリアに比べるとマダイのヒットレンジが限られる。そのため潮が流れない時間帯は、足元に落として巻くだけのアプローチでは手詰まりになってしまいます。」
そのためシャローエリアでは、限られたヒットレンジをいかに長く探れるかが重要であると赤澤さんは話す。
また真下に落ちるタイラバに反応がなくても、キャストをして斜めの角度を作ることで口を使うこともあるという。
シャローエリアで最適なタイラバ
「シャローエリアは光が届きやすいため、マダイは視覚的要素でタイラバを判断していると考えています。つまりアピール力が強いタイラバは見切られてしまう可能性があるため、自然なアピールで攻めるのが基本です。」
低速巻きでもしっかりアクションがつけられる「炎月 バクバクネクタイ メビウスカーリー」や「炎月 集魚ネクタイ イカタコカーリー」といったカーリーネクタイを中心に組み立てていく。
カラーはシャローエリアで実績が高い赤やオレンジを選択した。
キャスティングタイラバではラインが斜めに入るため、バーチカル(真下に落とすアプローチ方法)に比べると着底がわかりにくい。
そこで今回は、感度に優れたタングステン製ヘッド「炎月 ヒューストンバクバク」をメインで使用する。
ヒューストンバクバクはどのようなネクタイにも合わせやすい無垢色となっており、パーツが持つ性能を引き出してくれるヘッドだ。
多彩な魚種が釣れる錦江湾
豊かな生態系を育む錦江湾には、約1,000種類もの魚類が生息しているといわれている。
そのため本命のマダイだけではなく、何がヒットするかわからないワクワク感もこのフィールドの魅力のひとつだ。
釣行日は本命のマダイ以外にも、色とりどりの魚をキャッチできた。
マダイの数釣りを堪能
「秋はとにかく数が釣れるので楽しいですね!」
潮が流れず難しい状況の中、トータルで6枚のマダイをキャッチした赤澤さん。
秋の錦江湾は小型から中型が主体となるが、潮さえ良ければ大型が釣れるチャンスもあるという。
ロックフィッシュが連発
潮が緩んだ時間帯には、高級魚のオオモンハタが立て続けにヒット。
錦江湾では潮流が0.7ノット以下になると、マダイに変わってオオモンハタのアタリが明確に増えるという。
釣行日はマダイ以上にオオモンハタのアタリが多く、40cmオーバーの良型も登場した。
オジサン!?も登場
「おじさんがオジサン釣っちゃいました(笑)」
オジサンの仲間であるミナベヒメジをキャッチし、思わず笑顔になる赤澤さん。
このような珍しい魚と出会えるのも、豊かな生態系を育んでいる錦江湾ならではといえるだろう。
キャスティングタイラバの優位性を実感
釣行日は一日を通して潮が動かず、船内が静かになる時間帯もあった。
そんな難しい状況下でも、キャスティングタイラバで常に何かしらの魚をヒットさせていた赤澤さん。
大型のマダイには出会えなかったが、キャスティングタイラバの優位性を強く実感した釣行となった。
シャローエリアを攻略しよう
シャローエリアは手返しがよく、初心者でも手軽にタイラバを楽しめるフィールドだ。
しかしながらマダイのヒットゾーンが狭く、アプローチの選択肢が限られてしまう難しさもある。
次回は、今回の釣行の鍵となったキャスティングタイラバの基本を紹介していくので、ぜひ注目していただきたい。
タックルデータ
スピニングタックル①
- ロッド:炎月エクスチューン S66M
- リール:19ヴァンキッシュ C3000
- ライン:タナトル8 / 1号
- リーダー:炎月 真鯛LEADER EXフロロ / 4号
スピニングタックル②
- ロッド:炎月エクスチューン:S72MH
- リール:ステラC3000
- ライン:オシアEX8 / 1号
- リール:炎月 真鯛LEADER EXフロロ / 4号